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 第740話 「他人を説得するのはデータではない」

 データが人の意見を変える役に立つとは限らない、他人の強固な意見を変えるのにデータは力不足だ、確立した意見を持っている人は、時に頑として考えを譲らない。このように述べるのは認知神経科学が専門の、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで教授のタリー・シャーロット先生です。

 まずはトランプ大統領の演説を例に挙げ、以下のように説明されています。ワクチン接種と自閉症の関連性が取り沙汰されているときの話です(もちろん医学関係者は強く異を唱えていました)。「自閉症はいまや流行病ですよ・・・小さなかわいらしい赤ん坊を連れてきて注射をする・・・その注射器は馬に使うようなバカでかいものに見える・・・ワクチンを受けた1週間後に高熱を出した・・・その子はいまでは自閉症です。」

これを聞いたとき、分かり切っているのに「馬用の巨大な注射針を赤ちゃんに突き刺すイメージが離れなかった」とシャーロット教授。

 プリンストン大学の研究グループで、演説を聞いている人たちの脳活動をMRIスキャナーで記録したところ、力強い演説を聞いているとき、複数の聞き手の脳が「歩調を合わせていた」ことが分かったそうです。感情に訴えるようなことが起きると、偏桃体(興奮の伝達に重要な脳の領域)の働きが活発になり、偏桃体が脳の他の部分に「警告シグナル」を送るそうです。このように科学的な事実より、イメージを喚起させる方が、他人は説得され易いようです。

 もう一つは「コントロール感」を与えるべきだと、シャーロット先生は以下のように説明されています。他人に影響を与えるためには、コントロールしたいという衝動を押さえ込み、相手が主体性を必要としていることを理解すべきです。自分自身で選択した結果は、押し付けられたものより自分の好みやニーズに合っていることが多いのです。人は選択それ自体を報酬と捉え、選択肢を与えられると「選ぶこと」を選ぶものだと。

 例として介護施設での実験です。グループを2つに分け、第1フロアは「自分のことは自分で、空いた時間の過ごし方も自分で」、第2フロアは「すべて私たち(スタッフ)がお手伝いをしますから、何もする必要はありません」と分け、1年後に比較したところ、第1フロアの人たちの方が、はるかに健康的になっていたそうです。

 他人を説得するには、論理ではなく、イメージ喚起とコントロール感を与えることがポイントだとのお話でした。