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製造業のコンサル小西正暉は○○○○○○○○を専門とする○○○○○○○○会社です。

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 第741話 「同じ作業がドイツの3倍かかる日本」

 かつて日本の製造業は世界一と言われた時代がありました。しかし今では信じられないくらい劣化してしまったようです。今回はエンジニア向けの情報サイト「イプロス」が提供している「Tech Note」に、筆者が掲載した太陽光発電関連記事(https://www.ipros.jp/technote/basic-solar-power5/)からです。

 最近はメガソーラーと呼ばれる大型の太陽光発電サイトを多く見かけます。太陽光発電は温室効果ガスを排出しないため、地球温暖化防止の有力な手段の一つと考えられ、世界中で普及政策が進められました。その結果、太陽光発電最大の課題だった価格も下がり、日射量の多い国では、化石燃料を使う火力発電や原子力発電より安価な発電方式になりました。

 今回の話は、ドイツでは日射量が日本の約70%であるにもかかわらず、太陽光発電による発電単価が、日本の半分くらいだということです。メガソーラーは太陽の光を電気に変換するソーラーパネルや、パネルから出てくる直流電力を交流に変えるパワーコンディショナーだけでなく、パネルを固定する架台が必要です。さらにパネルを架台に取り付けるための設置工事や、パネルから出てくる電気を集める配線工事も必要になります。

 日本とドイツの差は、架台や工事費用にあり、日本はドイツの3倍です。人件費で大きな差があるとは思えないドイツとの差は、ドイツの工期が日本の1/3に短縮されているからです。国の許認可の差だと(日本の施工者は)言いますが、ドイツではIT技術を駆使してスケジュール管理を徹底していると聞きます。

架台に関しても、大きな扇風機のような「風」発生装置を作って、ギリギリ設計のためのデータを採っているところを、何年も前にドイツで見学しました。日本は台風が来るためハンディがあることは認めますが、当時(私には)日本が怠けているようにしか思えませんでした(遅ればせながら日本も取り組むようにはなりましたが・・・)。

実はソーラーパネルも中国製の安いパネルを採用しています。発電の目的は安価な発電単価を実現することですから、品質ファーストの高価な日本製を選ばず、一定の確率で故障することを統計的に割り出し、故障分は保険で賄うビジネスモデルを構築したのです。

 品質が高いことだけをアピールする時代は終わったのではないでしょうか。目的に対し何が必要で、そのためには何をなすべきか、製造の世界にもそのような感性が求められているように思われます。