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 第764話 「理性が欠けたサルになってはいけない」

 真偽が疑わしい情報が氾濫すると、人は論理的に考えるのを放棄しやすくなると主張するのは、アイルランド出身で物理学者・ガン研究者・科学ジャーナリストのデヴィッド・ロバート・グライムスさんです。彼は、陥りがちな「間違った思考」や、意図的、あるいは無意識のうちに人を騙したり攻撃したりする発言や情報を、事例とともに解説しています。

 事例1です。

本質主義とは、普遍的で絶対的なものとする考えを指し、定義が明確で合理的なら良いのですが、数学のように厳格でない領域でも使われています。その間違いを哲学者アンソニー・フリューが例示しているというのです。

スコットランド人のハミッシュ・マクドナルドは、「イングランドの○○が性犯罪を犯した」という記事が載った朝刊を見て、「スコットランド人に、そのようなことをする男はいない」と断言する。翌日の朝刊には、「スコットランドの〇〇が(前日のイングランド人以上に野蛮な)事件を起こした」とあった。その記事を見て彼(マクドナルド)は、「真のスコットランド人にそのようなことをする男はいない」と言い放った。

論理が誤っていることは明白であるが、彼は例外を排除する形で、自分で考えた誤った定義にしがみついた。「真のスコットランド人の誤謬(NTS)」として有名な話だそうです。

 事例2です。

次の事例はNTSの延長線上にある話で、「自然に訴える論証」です。怪しげな薬を売り込む業者が使う「殺し文句」ですが、自然イコール人間の手が加わっていないもの、そのようなものは良いもの、こんな定義が正しいといえるでしょうか。人間を死に至らしめる「エボラウイルス」だって自然のものです(この記事は新型コロナウイルス出現以前に書かれたようです)。

 事例3です。

渋滞時に誰かに割り込まれたら、なんて勝手な行動だろうと思うでしょう。割り込んだ理由が「誰かを大急ぎで病院へ運んでいるのかも知れない」とは考えない。

 グライムスさんは以下のように結論付けています。浅い考えの本質主義に用心しなければならない。人も状況も、その本質は複雑だから。決して「理性が欠けたサル(irrational ape)」になってはいけないと、説いています。