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 第772話 「3密を避けるCMOSアニーリング」

実験が伴う研究者にとっては、実験室のある研究室への出勤が避けられない状況であるにもかかわらず、新型コロナウイルスの感染は一向に収まりません。今回は日立の中央研究所で行われている、3密を避けるための新しいスケジューリング方法のお話です。

 2015年に日立が開発した「組み合わせ最適化問題」と呼ばれる、複雑な計算課題を短時間で解くことができる技術を、スケジューリングに応用したもののようです。この技術は「CMOSアニーリング」と呼ぶそうで、日立得意の半導体技術を利用して、膨大な計算を短時間でやれるようにしたものです。

大小さまざまな実験室100、対象者300人の研究者が3密にならないよう、所属チーム、研究内容、実験の進捗、実験設備の使用状況、勤務場所、出社頻度、通勤時間など、複合的に絡み合った条件を入力して計算を行うそうです。これまでのコンピューターなら45日かかるところが、このCMOSアニーリングを使うと1時間ほどで答えがでてくるとか。

人ではなくCMOSアニーリングが作ったシフトなら、たとえ自分の希望が通らなくても納得できるとの声も出ているそうです。機械が自動的に行うという「公平性」が受けているのでしょうかねぇ〜。CMOSアニーリングを使ったシフト作成は、専門的な知識がなくても利用できるそうで、日立では他部署でも使いたいと言っています。

 ところで「CMOSアニーリング」の原理はどうなっているのでしょう。磁石などの磁性体の性質を表すモデルを「イジングモデル」といい、このイジングモデルはエネルギーが最小の状態になると、最も安定(収束)するそうです。

筆者の解釈は以下の通りです。波の上にボールが浮かんでいる姿を想像してください。ボールは低いところへ(位置エネルギーの小さい方へ)移動します。しかし波の大きさが色々ある場合、小さな波の谷間に入っているボールは、一度山を越さなければ大きな谷の底へ移動できません。全てのボールを深い谷に落とし込む方法が「CMOSアニーリング」と理解しました。

 筆者の解釈は間違っているかも知れませんが、今回の日立研究所のスケジューリングでいえば、対象の300人がボールで、様々な条件が波で、300人の人たちを出来るだけ低い谷に移動させる計算方法と解釈できるのではないでしょうか。