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 第782話 「データだけで人を説得することは出来ない」

 今回は「事実を突きつけるだけでは人を説得することは出来ない」と説く、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのターリ・シャーロット教授の話です。シャーロット先生の話は、たとえ話から始まります。

 陪審員を説得して味方につける仕事をしている弁護士夫婦が、子供をどこで育てれば良いかを議論していました。夫はフランス生まれのフランス人、妻はアメリカで生まれ育ちました。2人とも、自分の生まれ故郷が子育ての最適の場所と信じています。

 妻が「生活費はアメリカの方が安い」と数値を示せば、夫は「フランスに住む弁護士の方が高収入」と切り返します。言い争いでは「私が正しくて、あなたが間違っている」ことを示す、これが人間の本能だとシャーロット先生は言います。

 自分を否定されるような情報を提供されると、人は全く新しい反論を思い付き、さらに頑なになることが多いそうです。何故そうなるのでしょう。それは、相手の主張を受け入れることによって、自分自身の考えを捨てなければならないことに起因する。なので、人は本能的に、自分が正しく他人が間違っている証拠を大量に抱えて議論に挑むものだ、とシャーロット先生。

 ではどのようにして他人を説得すれば良いのでしょう。まずは、ハーバード大学で行われた実験結果を示して説明しています。2つのグループに分けられた学生に簡単な仕事をしてもらい、報酬として各学生に10ドルが支払われました。そのとき、一方のグループには「研究税」として、退出時に3ドル置いていくよう指示しました。別のグループには、支払われた研究税の使い道を提案できると言って、同じように3ドル置いていくよう指示しました。

 結果は、3ドル置いて行った学生の割合は、前者グループが50%、後者グループが70%でした。ここに人を説得するヒントがあるとシャーロット先生は言います。人は自分が失われると思ったら抵抗するが、主体性が強まると考えたら受け入れやすくなる。理由は選択の機会が与えられると、人は喜びを感じ、脳の報酬系である腹側線条体が活性化するからだそうです。

 やっぱり人間は感情の動物のようです。