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最廉価発電方式になった太陽光発電HEADLINE

Photovoltaic Power Generation is a Champion of Power Generation Systems when Minimizing Costs

 太陽光発電は発電単価が高いと言われ続けてき た,しかしその常識が覆りつつある.今年3月「2.42 セント/kWhで中国ジンコと丸紅がADWEC25 年間のPPA締結」と報道された.売電価格2.42セ ント/kWhでアブダビ水電力会社(ADWEC)に,25年間電力を供給するとのことだ.石油を温存したいが故の政治的な価格だろうと考えたが,そうで はなさそうである.IRENAのデータによるとチリで2.91,メキシコで3.28,ペルーで4.79と,日射量 の多い場所では既に5セント/kWhを下回っており納得した.さらに特別な売電単価でない理由として,ジンコソーラーが記者の質問に答えた記事が載っていた.内容は,記者の「2.42セント/kWhでは損していませんか?」という質問に対し,「アブダビ政府からの援助がゼロではないが,合計で8.7億ドル の融資を受けています,事業性がないプロジェクトに金融機関はお金を出しません.」と答えている. 2.42セント/kWhに対して日本の状況はどうか.FIT(固定価格買取制度)最後の年として平成29 年度の買取価格は21/kWh(収益ゼロと仮定しても16/kWh).日本より日射量の少ないドイツでさえ上記IRENAのデータでは8セント/kWh,日本は異常に高いと言わざるを得ない.既存の発電 方式である原子力発電10/kWhや火力発電13 /kWhが今後大きく下がるとも考えにくい.多くの読者は研究開発に携わっている方だと思われるが,研究開発といえども経済活動と無縁ではいられない.研究開発テーマを選択するとき,電気代が安くなれば〇〇の研究が社会に役立つはずなどというテーマは無限にあると思われる.例えば電気分解によって水素を発生させ水素社会を実現する手段の一つとして,海に面した砂漠に太陽電池を設置,得られた電気で水素を収集するといったテーマが,経済 的な観点から成り立つかも知れない. 次に米国の最新情報について,今年6月にワシントンで開催された太陽電池の国際会議(PVSC-44)で,「A roadmap in communicating the PV industry vision」と題して,DOE(米国エネルギー省)のC. Gay氏が話した内容を説明する.米国は広い国で砂漠からカナダ付近の日射量の少ないところまで広がっているため,全土の平均気象条件で発電単価を 表している.それが驚くことに既に7セント/kWh を達成したとのことである.彼らは2030年までの研究開発目標を明確にしており,2020年のLCOE Levelized Cost Of Electricity)の目標コスト6セント/kWhはクリア間違いなし,2030年の3セント/kWhに向けても自信ありとのことである.ちなみに米国の平均気象条件で使われている場所は中部の都市カンザスシティで,日本の日射量に比べれば若干多いとはいえ大差ない.従って日本でも2030 年の研究開発目標を3/kWhに設定することが,国際競争上必須ではないか. 話は変わるが,ニューズウィーク日本版で面白い記事を見つけた.「太陽エネルギーが石炭産業を殺 す日」と題し,トランプ大統領がどんなにじだんだを踏んでも,石炭・石油産業はいずれ破壊されるだ ろう,地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定もほとんど無駄だ,経済の法則に従えばおのずと問題は 解決されるとまで書かれていた.このような記事が載ること自体,太陽電池による発電単価の低減が世の中の予想をはるかに上回っている証左であろう.蛇足ではあるがパリ協定発足以降,世界中の年金基金が石炭産業から投資を引き上げていることはよく知られた話である. 太陽光発電の発電単価の高さが問題だった時代は過去のものとなった.しかし太陽が沈んだ後は発電しないという致命的欠陥は残っている.真っ先に思い浮かぶのが蓄電池とのセットだが,経済的には少し時間がかかりそうである.次善の策として提案したいのは,分散型のガス発電とのセットである.もちろん長期的に化石燃料の使用をゼロにしなければならないことは承知しているが,当分の間化石燃料を利用せざるを得ないことも現実である.二酸化炭素排出量の多い石炭の使用は止めるとしても,比較 的排出量が少ない天然ガスの利用は当分残るであろう.電力会社が使っている大型の火力発電機は停止させると再稼働に時間がかかる.しかし100kW1MW程度の発電機であれば23秒で立ち上げられる.この23秒間は蓄電池で補完するとして,分散電源である太陽光発電所に相当する小型のガス発電機をセットで設置するのはどうだろう.化石燃料ゼロ時代までの経過措置ではあるが,蓄電池のコスト低減を待つより太陽光発電の導入をより加速できると考えている.